20週間でイノベーションが起こせる組織開発メソッド

たった20週間で、バラバラだった個人を一つに束ねビジョンを打ち出す「組織開発」プログラムの赤裸々なノンフィクションあれこれ

コミュニケーションの土壌に欠かせない共感の創り方

自律的にまい進する組織づくりの肝は”インティマシィ” [書評]

[Tue, 8 Sep 2015] 嵐の前の静けさでしょうか。23時52分です。

 

さて、今回は米国で人工心臓の開発を成功させたテルモハート(テルモの米国子会社)初代CEOで、元心臓外科医の野尻知里さんから学ぶ「チームづくり」についてです。

 

チームの書棚: 

 

 
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本書は心臓外科医としてのキャリアを39歳で180度転換、医療機器メーカーの人工心臓開発チームリーダーへ転身した筆者の、CEOとしての米国創業とチームづくり、そして開発、承認審査、市場投入・・・。決して平坦ではなかった成功までの軌跡が描かれています 。
 
彼女はCEOとして、この人工心臓の開発を米国で優先させることになりました。
 
4名からスタートしたチームを、どのように創りあげ、最終的に開発を成功に導いたのか?そのポイントとは・・・
 
【一体感を促すしかけ】
米国での組織づくり、最も苦労したのはスタッフの採用や解雇。
 
人財の確保と教育にあたって、とにかくビジョンを明確に、コア・バリューを皆で創りあげながら、正解のない開発過程を切り開く各々のメンバーが「自律的にまい進する組織づくり」を目指しました。
 
CEOとして「会社のチア・リーダー」を明言し、インティマシィ(親密な関係)を重視した姿勢を貫きました。
 
具体的にはとても簡単なことですが、スタッフ同志、頻繁にBBQやポットラックパーティを開き、皆で一緒に喜び、一緒に悩み、一緒に頑張ることを続けたのです。
 
会社のチア・リーダーという表現が、女性ならでは。そしてインティマシィを重視することで、チームのメンバーと親密かつ信頼し合える関係を構築していったのです。
 
当方が開発を続ける「共感する組織構築メソッド」においても、リーダーの役割の中でも最も重要なひとつが「ポジティブ・フィードバック」を先に浴びせる、というもの。
 
この意図は、「ポジティブな視点」からフィードバックを共有し、前向きな姿勢を創る点にあります。
 
前向きな姿勢が出来上がれば、自然と改善点や問題点を指摘し易くなりますよね。
 
それを可視化し、全員で更に良くするという視点で高め合うことが出来るのも、利点の一つであり、非常に有意義です。
 
実はダメ出しと同様のことをしているにも関わらず、指摘が攻撃的ではなく、ご本人にはもちろん、周囲のメンバー達の気付きにもなる点からも、ポジティブ・フィードバックの有用性が示唆されます。
 
インティマシィ・マネジメント、ぜひ導入していきたいものです。
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さて、ミドルリーダーである40歳のあなたは、現場の大変さや責務の重さから、転職や転院するべきか、お悩みではありませんか。
 
著者の野尻さんの学生時代のエピソードを読むことで、年齢が如何に意味のない固定概念か、ということを爽やかに思い知らされます。
 
外科医しか知らない39歳の彼女が、なぜ医師のキャリアを捨てて、メーカーの研究職に転身してしまったのか?
 
その背景にあるのは・・・医学部を受験し直す前の、物理学科時代の彼女の深い「挫折感」。
 
これからの女性は自立していかねば、という母の教えや、極端な男性社会である病院組織での立ち振舞い。
 
世界で通用する高い志を実現するための、成功者に必要な資質がいくつも述べられています。
 
キャリアに迷ったときに読みたい一節・・・
 
【挫折をバネにする方法】
実は野尻さん、偉大な科学者を目指して京大理学部に入学したのです。現実は、アカデミアの就職や可能性の閉塞感に深い挫折感を味わい、旅行中に訪れた東尋坊で、自殺未遂と間違えられ、通行人に止められたくらい。。。そこから奮起して、医学部に再入学、心臓外科医を志すことに。
彼女は「何歳になっても夢は持てる」と説きます。辞めたくなったら、理由を書き出して自己分析することが有用だとも。いずれにせよ、好奇心と誠実さがとても重要です。
 
キャリアパスの考え方】
野尻さんの言葉で最も印象的なのは「人生は壮大な実験だ」。まるで新規事業担当者や起業家のような発言ですね。実験であるから、目的が一貫していれば、パスの流動性はむしろプラスになります。自身の市場価値が高まるならば、新たな環境にチャレンジすることも、キャリアパスの充実に繋がるのです。

 

最後に、野尻さんが35歳のあなたにアドバイスを授けてくださるとしたら、こんな風に声をかけるのではないでしょうか。
 

「自分が一番やりたいことをするのなら、環境とか見栄とか、そんなものにこだわってはいけません。必ずできる、と信じることこそが、何よりのモチベーションではありませんか!」

 

人生、本当にやりたいことって何なんだろう、と未だお悩みのあなたにオススメの一冊です。 

 

【モチベーションがいまいち、上がって来ない】
院内研修や、職員さんとのコーチングでも活用している「レゴ® シリアスプレイ® メソッドを用いた対話術」をご紹介しましょう
当方が介入を続ける医療法人大誠会グループでの組織活性化事例も聴けますヨ


9/17(Thu.) @東新宿にて(あと2席:志高き介護医療職の方は、無料です) http://empathyhospital09.peatix.com