20週間でイノベーションが起こせる組織開発メソッド

たった20週間で、バラバラだった個人を一つに束ねビジョンを打ち出す「組織開発」プログラムの赤裸々なノンフィクションあれこれ

コミュニケーションの土壌に欠かせない共感の創り方

「もし~だったら」+「なぜダメなのか」を操るブランド・アンバサダーになろう(書評)

【デジタル化とGAFAの時代】

我々はじっくり検討するのに我慢できず、即決即買の消費者となった。20年前は、小売店で75台のテレビが並んでいるのに驚いていたが、現在Amazonで検索すれば50万件がリストアップされる。認知の機能不全である。


テレビを見る人口は減らないが、CMになるとスマホやPC画面に目を移し、誰もCMを見ていない。つまり広告が効かない時代、「関心」こそが希少価値となり購買につながっていく。今やメディアは「店舗」となったのだ。

 

【ストアは“ストーリー”化していく】
とはいえ、実店舗が不要になることはない。発見、ふれあい、現実逃避を求めるのが人間の本性である。店舗とは、「ドーパミン」が大量放出されるような「触れる」「試す」「感じる」「体験する」ことが実現できるショールームであり、ミニ流通ハブであり、ブランド認知の場になっていく。ストアは「ストーリー」化していく。


さらにポスト・デジタル社会に向けて、店舗をメディア化していくことで顧客を熱狂させ自社の信者にしていくことがこれからの小売の生き方。没入型空間をデザインし、瞬間を重視し、体験を収益化していく。そして、空間はマーケティングや広告のツールでもあり、楽しさや遊びの場であり、ブランドをインタラクティブに語るメディアである。収益化できる体験を生み出している状態は、テクノロジーによって測定可能であり、これも収益化できるのだ。

 

【極上のフィジタル体験を提供せよ】
未来の購買体験は、フィジカルな場とデジタルが融合し、顧客が購入に至るプロセスに完璧に沿うように両者を的確に融合する。販売チャネル各々の独自性を踏まえて、押し付けがましくなく、目立ちすぎることもなく、付加価値をつけ不便を解消するために、デジタルを自然に融合させる。つまり、極上の“フィジタル”(フィジカル+デジタル)体験を生み出せる小売業者こそが、最も優れた存在になれる。


「もし~だったら」、そして「なぜダメなのか」を問いかけ続ける反乱軍らしい発想で、現場空間こそ最重要意思決定の場としよう。顧客に素晴らしい体験を提供することに、一途に取り組む企業文化をつくろう。販売員が店舗空間で過ごすひとときを、徹底的に心地良く印象深いものにする「ブランド・アンバサダー」になろう

 

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小売再生 ―リアル店舗はメディアになる

小売再生 ―リアル店舗はメディアになる