20週間でイノベーションが起こせる組織開発メソッド

たった20週間で、バラバラだった個人を一つに束ねビジョンを打ち出す「組織開発」プログラムの赤裸々なノンフィクションあれこれ

コミュニケーションの土壌に欠かせない共感の創り方

デザイン思考の先へ〜これからの主役は科学者>実験科学的思考が必須

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COVID-19によって歴史が変わった2020年。大変な1年でした。

 

もう少し先になると思われていた新しいテクノロジーが急速に浸透し始め、ワクチン開発から接種までのスピードが驚異的な速度で実現されました。

 

大国を中心にワクチン接種が進んでいますが、日本は完全に蚊帳の外となってしまい、強制力のない緊急事態宣言を繰り返しているだけ。

ますます世界的な地位が低下しています。


もちろん、我々の暮らしや働き方は一変しています。

 

リモートワーク、オンライン授業、フードデリバリー、そしてPCR検査やワクチン接種。

仕事や学習のやり方が変わり、対面のコミュニケーションの大切さを噛み締めつつも、オンラインでも対応できることが少なくなかったことに気づいてしまいました。

もう従前に戻ることはありません。


BMIAも全ての開催講座をオンライン化してみたところ、物理的な制約が外れ全国から、より多くの学び手が集まってくださいました。

また、リモートにより地域を超えた交流が増え、会員さん同士の新しい挑戦が生まれています。

今回100%オンライン開催となったビジネスモデルオリンピアの配信は、100名を超える方にご視聴いただきました。


一方で、ワクチン確保は進まない、接種運営は自治体に丸投げ、オリンピック開催の決断も先送りのまま。

今までのやり方が通用しないにも関わらず挑戦をしない、意思決定を先延ばしにする体質が、大組織を苦しめています。

国も企業も医療機関も結局、ごく少数のダイナモ人(自律的自発的に動ける人の総称*)が疲弊しながら、社会システムをかろうじて維持しています。


何年か前の調査ですが、日本組織のエンゲージメントは139国中132位、無関心層が70%に達しています。

また、日本組織の特徴として「失敗を極度に恐れる」風土、つまり不確実や曖昧なことを避ける傾向が非常に高いと言われています**。

ワクチンが打てず海外にも出られず、このままでは図らずも鎖国状態に戻ってしまうかもしれません。

 

一体、どうすれば良いのでしょうか。


実は、変わるのではなく“Update“するだけで良いのです。

スマホやPCのソフトウエア・アップデートと同じです。

 

その方法は、これまで我々が学んできているビジネスモデルキャンバス(BMC)やバリュープロポジションキャンバス(VPC)等のツールによる「概念化」と、昨年邦訳版が発売された“ビジネスアイデア・テスト“(原題: Testing Business Ideas)の主題である「試行錯誤」です。

 

概念化、これはいうまでもなくデザイン思考やイノベーションのツールを使いこなし、創造することであり、戦略を語り生み出すことです。


もう一つが、まさに今、求められている「試行錯誤」です。

 

不確実度を下げる、実験する、失敗を積み重ね意思決定をしながら前進する。

これは科学者の思考であり、お作法でもあります。

 

科学において「仮説を立てる」「実験する」「結果を考察する」プロセスには、山のような失敗が欠かせません。

むしろ成功しても“再現性“を求めて、果てしない実験が続いていきます。

実は、この過程で「ダイナモ人」の気質が育まれていることが少なくありません。


これまではデザイナーが注目を集めていましたが、これからはサイエンティストこそ、ビジネスの現場や組織構築で能力を活かすべき時代なのです。

 

つまり、デザイナーではなくてもデザイン思考を学び実践するように、サイエンスを学んでいなくても「実験科学的思考」を学び、失敗を恐れずビジネスの試行錯誤を重ね続ける。

そのようなスキルとマインドセットのUpdateこそ、これから10年輝き続けるビジネスパーソンとして成すべきJobだと言えましょう。


BMIAも自ら実験的風土づくりと、そのためのツール&メソドロジーの開発、投入に進んでいきます。当然、皆さんとの共創活動になることはいうまでもありません。

 

(2020年BMIA活動報告 あとがきより)

 

* 企業変革を牽引する新世代リーダー ダイナモ人を呼び起こせ(日経BP社)

** 異文化理解のフレームワーク「ホフステードの6次元モデル」(4)不確実な未知の出来事に対する対処法:不確実性の回避 https://hofstede.jp/6dimentionsmodel_uai/