20週間でイノベーションが起こせる組織開発メソッド

たった20週間で、バラバラだった個人を一つに束ねビジョンを打ち出す「組織開発」プログラムの赤裸々なノンフィクションあれこれ

コミュニケーションの土壌に欠かせない共感の創り方

視点を自由自在に変える能力がイノベーターに必須である[書評]

医療法人の組織活性化に効く!
イノベーション経営メソッド
 
[Sun., 24 Jan, 2016]先週のGijsさんとBMIA理事会メンバーでの機会に続き、今晩も「うなぎ」。妻が近所で評判の良い店舗を聞きつけて、注文した蒲焼きを自宅に持ち帰り、多めのタレと共に食しました。どうしてうなぎって、あんなに美味しいのでしょう。ただ、我が家は息子がうなぎは苦手のようです。お店で座ってうなぎ、という日はやってくるのでしょうか・・・(遠い目)。
 
さて、今回は「薬局発のイノベーション」をご紹介しましょう。

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著者は、外科医でありながら実家の薬局チェーンを継ぎ、まさに次世代型薬局、次世代型薬剤師を”発明”しつつ薬局業界にイノベーションを起こしながら、全国を飛び回る狭間研至先生。
 
本書は単なる「薬局経営」を記した書籍ではありません。
 
イノベーターが持つべき、活用すべき「視野の柔軟性」を取り入れた「イノベーション経営」マニュアルです。
 
つまり、薬局のみならず小売店舗や販売業、もちろん病院・クリニック等、あらゆる業種の経営者に有用な「戦略と戦術」が、実例と共に理路整然とまとめられています。
 
しかも驚くべきなのは、全体の構成がバランスよく「視野の柔軟性」を担保していることです。
 
3つの視野を、本書の構成の順番で紹介していきましょう。
 
 
1)時流を感じる「魚の眼」
薬局の歴史を語るために、医薬分業率と「51年周期」を取り入れ、薬局ビジネスモデルの変遷をWebと同様に1.0 -> 2.0 -> 3.0と定義しました。
 
これによれば、「街の相談薬局」から始まった1.0、医薬分業が本格化した2.0、そして「在宅」への流れが加速する3.0と、薬局に求められる機能やニーズは明らかに変わりつつあります。
 
病院の門前薬局であれば安泰、という時代ではなくなって来ているのです。
 
このように、時代の流れを敏感に察知する「魚の眼」で執筆された(と思われます)のが最初のパートです。
 
  • 序章「小規模保険薬局経営資源を考える」
  • 第1章「薬局を取り巻く市場環境の変化を読む」
  • 第2章「調剤薬局」を再定義する 薬局2.0〜3.0の検証」
 
 
2)業界と自社を「鳥の目」で観る
今度は海から空へ飛び出し、「鳥の目」で地上を眺めてみましょう。
 
中小の調剤薬局が「弱者」として戦いを挑むために、筆者はビジネスの世界ではお馴染みの「ブルーオーシャン戦略」で、薬局2.0と3.0の戦略が明確に変化した点を指摘しています。
 
合わせて「ランチェスター戦略」により、自局のポジショニングを明確化する手法を提示。
 
そして「薬」やモノではなく「体験」を売りだそう、という「エクスペリエンスマーケティング」の考え方を取り入れる等、それぞれのフレームや思考法を薬局経営に取り入れました。
 
さらに自局の戦術を明確化するために「SWOT」分析を行い、自局の立ち位置を見極め、大手ドラッグストアや大規模チェーンとは異なる戦略を描いた実例が、経営者や現場には大変うれしいでしょう。
 
  • 第3章「自局の立ち位置を認識し、独自の戦略を描く」
 
 
3)戦術レベルは「虫の目」で丁寧に
戦略に基づく戦術が決まれば、現場における実践に必要なのは「虫の目」。
 
後半は薬局マネジメント3.0の真髄、現場の戦術を詳しく論じています。
  1. 現状の診療報酬体系から、薬剤師や非薬剤師の働き方をマネジメントする
  2. 売上・原価・経費のコントロールを厳格にする
  3. 業務の「見える化」を推進し、効率化で収益率を下げないモデルを構築
 
  • 第4章「薬局マネジメント3.0の実践に向けて 薬剤師3.0への道標」
  • 第5章「「薬局3.0」への活路を拓く5つのアクション」
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結びの2章では再び視野を広げ、薬局マネジメント3.0の定着のために必要な経営者の大局観が延べられます。
 
戦略の構築からマネジメント計画、そして組織づくり・・・PDCAや優先順位づけ等、ここでも経営の基本の大切さが繰り返されています。
 
時代が変わり、求められるニーズが変わっても、トップとしての考え方は、経営やマネジメントの基本を踏襲すべきでしょう。
 
時流を感じ、視野を高く持って戦略を再構築し、そして視野を顧客・患者のほうにズームインする。
 
つまり、イノベーションの実現に重要なことは「視点を自由自在に変える能力」なのです。
 
  • 第6章「「薬局3.0」実現のためのマネジメントサイクル」
  • 第7章「新たな医療サービスの創造とイノベーション
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「コレだ!」という素晴らしいアイディアが思いついて、誰かに話してみたら「それじゃうまくいかないヨ」と言われてしまうことはありませんか?
 
実は、そのアイディアは「あなた」の子ども
 
他人に「ウチの子ども、とっても可愛いよ」と自慢しても、それは親バカ・・・つまり、あなたのアイディアを自分の子どものように可愛がる他人はいません(汗。
 
狭間先生も最初は「直感」から薬剤師の働き方、薬局マネジメント3.0の新しい仮説を立て、自社内で実践したところ非常に上手くいくことがわかったのです。
 
そこで社外、そして業界内へ展開を進めつつ、学会の設立や研究会での次世代薬剤師養成を行っていきました。
 
「アイディア」に同調し、自分の子どものように可愛がってくれる家族=仲間を集め、共にイノベーションの実現に歩みを進めているのです。
 
これこそが、1人のアイディアを「皆の」アイディアにしていく仮定です。
 
結論として、多くの「親」から可愛がられるアイディアは、すくすくと育っていきます。
 
その結果、薬局3.0という「破壊的」イノベーションが次世代薬剤師の活躍の場を広げていくのです。
 
 
さぁ、あなたもまずは「アイディア」を皆で育てるために、周囲を巻き込むための戦略を考えてみませんか?
薬局マネジメント3.0

薬局マネジメント3.0

 

 

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山本伸、登壇します】
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以前とある医師の方からの問題提起があり、皆さんにもぜひご意見が伺いたく・・・
 
「職場コミュニケーション、どうしていますか〜?」
 
どうぞご自由にご記載願います(個人情報の入力不要、ご意見のみで結構です)